
小児矯正を始める前に知っておくべきこと
お子さまの歯並びが気になり、小児矯正を検討されている保護者の方は多いのではないでしょうか。
「やらなきゃよかった」と後悔しないために、治療を始める前に押さえておくべきポイントがあります。小児矯正は長期間にわたる治療であり、費用も決して安くありません。だからこそ、しっかりとした知識を持って臨むことが大切です。
私は松山市南吉田町のたなべ歯科クリニックで、長年にわたり小児矯正に携わってきました。その経験から、保護者の方々が不安に感じるポイントや、治療を成功させるために重要なことをお伝えしたいと思います。
この記事では、小児矯正で後悔しないための具体的な注意点を、わかりやすく解説していきます。
小児矯正で「やらなきゃよかった」と後悔する理由
実際に小児矯正を受けた方の中には、残念ながら不満を感じている方もいらっしゃいます。
治療期間が予想以上に長くなってしまった
小児矯正は成長を観察しながら行う治療です。そのため、どうしても長い治療期間が必要になります。
治療開始前の説明では2〜3年で完了予定だったにも関わらず、5〜10年治療を続けているケースもあります。治療期間が長引くと、お子さまも保護者の方もモチベーションを保つのが難しくなってしまいます。
治療が長期化する原因として、不十分な検査や治療計画の見直しがされなかったこと、治療を始めるタイミングが不適切だったことなどが挙げられます。また、お子さまの悪癖(指しゃぶり、舌癖など)の影響から治療期間が伸びてしまうこともあります。
結局、中学生以降に再治療が必要になった
小児矯正の主な目的は、永久歯がきれいに萌出するための土台作りです。
あくまで自然に歯が並ぶように手助けをする治療であるため、最終的な仕上げとしてⅡ期治療(中学生以上になってからの矯正)が必要になることがあります。これは決して失敗ではありませんが、事前の説明が不十分だと「小児矯正の意味がなかった」と感じてしまうことがあります。
最終的なゴールを担当医と共有しておくことが重要です。ある程度悪い部分を取り除く矯正治療を求めているのか、理想的にきっちり並べるための矯正治療を求めているのか。後者であれば、ほとんどがⅡ期治療を必要とするでしょう。
虫歯や歯周病になってしまった
矯正装置を着けている間は、どうしても磨き残しができやすくなります。
虫歯の管理は必ずと言っていいほど難しくなります。装置がずっとついていたせいで虫歯になってしまったという声も聞かれます。虫歯の程度がひどいと、小児矯正の中止が必要になることもあります。
また、虫歯が悪化すると歯を削る必要があり、歯の形状が変わってしまいます。マウスピース矯正の場合は、歯の形が変わることによって、マウスピースを再作製しなければいけません。小児矯正にかかる費用や期間が増えるため、治療が思うように進まなくなってしまいます。

小児矯正を成功させるために押さえるべきポイント
後悔しないためには、治療を始める前にいくつかの重要なポイントを理解しておく必要があります。
精密検査と診断の重要性
矯正治療を行うためには、臨床検査として口腔内検査、顎機能と咬合機能の検査、顎のプロポーション検査、筋機能の検査などを実施した上で診断を行うことが不可欠です。
特に頭部X線規格写真(セファログラム)検査は、診断のグローバル・スタンダードです。お子さまの場合、顎顔面の成長バランスや成長方向、量の予測をするために不可欠な検査となります。
十分な検査や矯正歯科医による診断、長期的な治療計画に基づかない治療では、思うような結果が得られない可能性があります。レントゲン写真による説明がない場合は、担当医に説明を求めるようにしてください。
治療開始時期の見極め
5歳から8歳が小児矯正の適応年齢とされています。
これは上顎の成長発育が最も期待できる年齢だからです。顎が発達途中(乳歯列・混合歯列期)で習慣付けがしやすいこの時期だからこそ、顎の成長を促し、歯がきれいに並ぶ十分なスペースを確保できます。
ただし、早く始めすぎることの問題点もあります。後の永久歯萌出完了期が遠すぎるために、お子さまが長い矯正治療に疲れてしまったり、また長期間、矯正装置をつけることで虫歯になるリスクが高くなることです。
矯正治療の開始時期は矯正歯科医が患者さん一人一人の症状や心理的側面、生活背景なども見極めて個別に判断する必要があります。
治療計画と費用の詳細な説明
治療計画については、わかりやすい治療のゴールやそのプロセスを患者さんに示しながら、それぞれの患者さんに適した治療装置とその効果、治療期間、第二期治療の可能性、保定、後戻りの可能性や治療のメリット・デメリットおよび抜歯・非抜歯について説明を行うことが重要です。
治療費用についても、治療費、調節料、支払い方法(一括・分割)、装置が壊れたときの対応、転医あるいは中止する場合の精算についても詳細説明を受け、納得した上で治療を始めましょう。
矯正装置のネジを毎日回すのが大変で、そんなことは聞いていなかったという声もあります。事前に説明不足であったり、うまく伝わらなかったことによるすれ違いが最も多い印象を受けます。

歯科医院選びで失敗しないために
小児矯正を成功させるためには、信頼できる歯科医院を選ぶことが何より重要です。
専門的な知識と経験を持つ歯科医師
矯正歯科専門開業医あるいは大学病院矯正歯科での相談をお勧めします。
専門教育研修を受け、豊かな経験を有する矯正歯科医が、適切な検査の後に早期治療の必要性があると診断し、十分な説明と患者と保護者の同意を得た上で行うのであれば、小児矯正を行うことに問題はないと考えられています。
当院では、マイオブレースによる小児矯正セミナーをマスターした「エデュケーター」と呼ばれる専門的な知識を持つスタッフが在籍しています。また、院長自らが施術に携わることで、一貫性のある質の高い治療を提供しています。
治療実績と症例数
当院では毎月100名以上のお子さまがトレーニングに取り組んでいます。
実際の症例として、8歳9か月の女の子が前歯のガタガタを主訴として5か月間の治療で改善した事例や、8歳6か月の男の子がお口ポカンを主訴として7か月間の治療で改善した事例があります。早いお子さまで2週間ほどで歯並びが改善することがあり、がんばってトレーニングをしていれば2年ほどでしっかり結果が出ます。
治療実績が豊富な歯科医院であれば、さまざまなケースに対応できる経験とノウハウを持っています。
設備と環境の充実度
常勤の矯正歯科医がいることは、いくつかのメリットにつながります。
治療において画像診断ができる撮影機器などの環境・設備が整っていること、矯正装置が取れてしまったなど器具に不具合があってもすぐに対応できること、同じ担当医による一貫した治療が受けられることなどです。
当院では専用のアクティビティルームを完備しており、小児矯正スタッフと楽しく遊びながらトレーニングできるスペースがあります。院長も施術するので毎日対応できる体制を整えています。

マイオブレース治療の特徴と注意点
当院で採用しているマイオブレースは、従来の矯正装置とは全く異なる治療法です。
マイオブレースとは何か
マイオブレースは世界100ヶ国以上で使用されている機能的矯正装置です。
単に歯並びを整えるだけでなく、呼吸や姿勢、顔の成長まで改善します。口呼吸、指しゃぶり、猫背などの口腔習癖を持つお子さまが対象で、これらの悪い習慣が上顎前突(出っ歯)、開咬、叢生などの歯並びの問題を引き起こす原因となっています。
治療の特徴として、歯を抜かない、目立たない、後戻りが少ない、負担や痛みが少ない、全身の成長発育を促すという5つのメリットがあります。
治療方法と家庭での取り組み
月に1回、院内でトレーニングを行います。
ご家庭では保護者の方と一緒に、毎日10分間の練習をお願いします。就寝時と日中1〜2時間程度、マイオブレースの装着を続けてください。治療の開始年齢や状態によって調整します。
お子さま・保護者の協力が必要です。自宅でマイオブレース装着とトレーニングを行わないと効果が出ません。毎日アクティビティのトレーニングを続けるのは大変なことですが、最後までやり遂げてきれいな歯並びをゲットできるようサポートします。
治療の流れと期間
治療は習癖の改善、歯列の拡大、歯の配列、保定という4つのステップで進められます。
治療期間は個人差がありますが、通常6か月〜2年程度です。お子さまの成長状態や改善度合いによって異なります。定期的な診察で経過を確認しながら、最適な治療期間を設定します。
治療による効果として、歯並びの改善はもちろん、姿勢や舌の位置が正しくなり、飲み込む機能の向上や鼻呼吸の確立、いびきの軽減が期待できます。鼻呼吸の確立により勉強の集中力向上も期待できます。
費用対効果を考える
小児矯正は決して安い治療ではありません。しかし、適切な時期に適切な治療を行うことで、将来的な費用を抑えられる可能性があります。
小児矯正の費用相場
当院では、精密検査3,000円(税込)、基本治療費300,000円(税込)、調整費0円という料金体系です。
治療中に使用する装置2〜5個については追加費用がかかりません。すべて自費治療となりますが、治療費が高額だから治療をあきらめるということがないようリーズナブルな価格設定にしています。
他の矯正治療に比べて費用を抑えられることも、5歳から始める理由の一つです。
早期治療のメリット
早期に治療を始めることで、お子さまの習慣を改善し、健やかな成長をサポートできます。
歯を抜かずに治せるケースが多い、ブラケットを使わない治療が可能、痛みを感じることがほとんどない、矯正後の後戻りが少ない、むし歯や歯周病のリスクを抑えられる、見た目を気にせず治療ができる、健康にも良い影響があるという8つの理由があります。
成長期にしかできない顎の成長を促す・抑制することで土台となる顎の骨をコントロールすることができ、今から萌出する歯をある程度並べたい場所に誘導することができます。この二つは一般的に中学生以上になると難しくなってきます。
長期的な視点で考える
小児矯正は成長を観察しながら行う治療ですので、どうしても長い治療期間が必要です。
しかし、骨格を作る段階である成長期だからこそできる治療ですのでメリットは非常に大きなものです。これらのメリットとデメリットを天秤にかけて、矯正治療をするかどうかを判断しましょう。
歯並びは良くなったが、虫歯になっては意味がありません。そういった意味では、小児矯正は常に虫歯に対する配慮が大切になります。矯正治療の来院ごとに虫歯のチェックを行い、フッ素を塗るようにしています。
保護者の方へのアドバイス
小児矯正を成功させるためには、保護者の方の協力が不可欠です。

お子さまのモチベーション維持
治療期間が長すぎて子供、親ともにモチベーションがなくなってしまったという声があります。
お子さまが治療を続けるためには、保護者の方の励ましとサポートが重要です。小さな進歩でも褒めてあげることで、お子さまのやる気を引き出すことができます。
当院のエデュケーターは、毎日アクティビティのトレーニングを続けるのは大変なことを理解しています。最後までやり遂げてきれいな歯並びをゲットできるようサポートします。
虫歯予防の徹底
ご両親の仕上げ磨きは必須になってきますので、ご本人と一緒に治療に取り組む姿勢が必要になります。
プラークコントロールの徹底が何より重要です。治療前からブラッシング指導を受け、装置が入ってからもその時々に応じたブラッシング方法を教えてもらい、実践していきましょう。
矯正治療中にクリーニングを受けることもあると思いますが、セルフケアが何より重要です。それでも矯正治療が長期になり、清掃不良の場合には虫歯になることもあります。その場合は小さなうちにすぐに虫歯治療を行います。
定期的なコミュニケーション
治療中の疑問や不安は、遠慮なく担当医に相談してください。
少しでも歯並びが気になっている方は気軽にご相談ください。無料矯正相談を実施しています。どんな些細なことでも、お気軽にご相談ください。
私のモットーは「よく診て、よく聴いて、よく説明(はな)す」です。そのため、出来るだけわかりやすく説明することを心がけ、説明は何回でもします。患者さんと一緒に治療方針を決めますので、こちらから押しつけるようなことは一切しません。
まとめ:後悔しない小児矯正のために
小児矯正で後悔しないためには、治療を始める前の準備が何より重要です。
精密検査と診断を受け、治療計画と費用について詳細な説明を受けること。信頼できる歯科医院を選び、専門的な知識と経験を持つ歯科医師に相談すること。そして、お子さまと保護者の方が一緒に治療に取り組む姿勢を持つこと。
これらのポイントを押さえることで、小児矯正を成功させることができます。
当院では、患者さんに「来たかいがある治療」と思ってもらえるように、カウンセリングを重視した治療に力を入れています。そのため、治療が終了しても定期的にメンテナンスで来院されたり、家族や知り合いの方を紹介いただいたりと、長くお付き合いを続けている患者さんが多いのが特徴です。
お子さまの歯並びでお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。一人ひとりにしっかりと向き合い、最適な治療方法をご提案いたします。
詳しい治療内容や費用、症例については、たなべ歯科クリニック 小児矯正のページをご覧ください。お子さまの未来のために、今できることから始めましょう。
小児矯正で後悔したくない保護者の方へ
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著者情報

当院は、患者さんに「来たかいがある治療」と思ってもらえるように、カウンセリングを重視した治療に力を入れています。
そのため、治療が終了しても定期的にメンテナンスで来院されたり、家族や知り合いの方を紹介いただいたりと、長くお付き合いを続けている患者さんが多いのが特徴です。
私のモットーは「よく診て、よく聴いて、よく説明(はな)す」です。そのため、出来るだけわかりやすく説明することを心がけ、説明は何回でもします。患者さんと一緒に治療方針を決めますので、こちらから押しつけるようなことは一切しません。
これからも患者さん一人ひとりにしっかりと向き合っていきたいです。
どんな些細なことでも、お気軽にご相談ください。
経歴
- 1978年
松山市立生石小学校卒業 - 1981年
松山市立西中学校卒業 - 1984年
愛媛県立松山南高理数科卒業 - 1990年
国立徳島大学歯学部卒業
大阪名越歯科(高槻)勤務 - 1994年
大阪名越歯科(梅田センタービル)チーフドクター - 1998年
たなべ歯科クリニック開院
資格・所属学会
- 日本歯科医師会 会員
- 愛媛県歯科医師会 会員
- 松山市歯科医師会 会員
- 河原学園 臨床実習主任




