
お子さまが小児矯正の装置を使っていると、突然の破損やトラブルに直面することがあります。
「装置が壊れてしまった」「このまま使い続けても大丈夫?」と不安になる保護者の方も多いでしょう。
装置の破損は、適切に対応すれば治療への影響を最小限に抑えることができます。ただし、対応を誤ると治療期間が延びたり、お子さまに痛みや不快感を与えたりする可能性もあるのです。
この記事では、小児矯正装置が壊れた時の正しい対処法から、家庭でできる応急処置、緊急受診が必要なケース、そして装置破損を予防する方法まで、保護者の皆さまが知っておくべき情報を詳しくご紹介します。
小児矯正装置が壊れる主な原因
小児矯正装置の破損には、いくつかの典型的な原因があります。
まず最も多いのが、**食事中の不注意**です。硬い食べ物や粘着性の高い食品を食べた時に、装置に過度な力がかかって破損することがあります。キャラメルやガムなどの粘着性食品は、装置に絡みついて外れる原因になりやすいのです。
次に、**装置の着脱時の扱い方**も重要な要因となります。取り外し可能な装置の場合、急いで外そうとしたり、片側だけを引っ張ったりすると、破損のリスクが高まります。特にマイオブレースのようなマウスピース型装置は、正しい方法で丁寧に扱わないと変形や破損につながるのです。

また、**スポーツや遊びの最中の衝撃**も見逃せません。お子さまが活発に遊んでいる時に、顔や口元に衝撃を受けて装置が破損することがあります。
さらに、**装置の経年劣化**も原因の一つです。長期間使用していると、プラスチック部分が劣化したり、金属部分が疲労したりして、突然破損することがあります。
装置の種類によっても破損しやすい部位は異なります。拡大装置では中央のネジ部分、リンガルアーチでは細い針金部分、マウスピース型装置では縁の部分が特に破損しやすい箇所となっています。
装置が壊れた時の初期対応
装置が壊れたことに気づいたら、まず落ち着いて状況を確認しましょう。
すぐに確認すべきポイント
最初に確認すべきは、**破損の程度**です。完全に外れてしまったのか、一部が破損しただけなのか、ヒビが入った程度なのかを見極めます。
次に、**お子さまの口の中に痛みや違和感がないか**を確認してください。破損した部分が粘膜を傷つけていないか、舌や頬に当たって痛みがないかをチェックします。もし痛みがある場合は、すぐに装置を外すことを検討しましょう。
また、**破損した部品がすべて揃っているか**も重要です。小さな部品が欠けている場合、お子さまが誤って飲み込んでいないか確認が必要です。通常、小さな部品を飲み込んでも自然に排出されますが、心配な場合は医師に相談してください。
取り外し可能な装置の場合
マイオブレースやプレオルソなどの取り外し可能な装置が破損した場合、**すぐに使用を中止**してください。
破損した装置を無理に使い続けると、お子さまの口の中を傷つけたり、歯に悪影響を与えたりする可能性があります。装置は清潔なケースに保管し、次の受診時に持参しましょう。
ただし、装置を外したままにする期間が長引くと、治療の進行に影響が出る可能性があります。できるだけ早く歯科医院に連絡を取り、指示を仰ぐことが大切です。

固定式装置の場合
リンガルアーチやクワドヘリックスなどの固定式装置が破損した場合は、自分で外すことはできません。
破損した部分が口の中を傷つけている場合は、**歯科用ワックス**で覆うという応急処置が有効です。歯科用ワックスは薬局で購入できますが、ない場合は清潔なガーゼを小さく丸めて当てることもできます。
ただし、これはあくまで一時的な対処法です。できるだけ早く歯科医院を受診して、専門的な処置を受ける必要があります。
緊急受診が必要なケース
装置の破損には、すぐに歯科医院を受診すべきケースがあります。
即座に連絡すべき状況
以下のような状況では、**当日中に歯科医院に連絡**を取ってください。
まず、**強い痛みがある場合**です。破損した装置が粘膜を傷つけて出血していたり、激しい痛みがあったりする時は、緊急の対応が必要です。
次に、**装置が完全に外れて飲み込む危険がある場合**も要注意です。特に固定式装置の一部が外れかかっている状態は、誤飲のリスクがあるため早急な対応が求められます。
また、**装置の破損によって歯が動いてしまう可能性がある場合**も、できるだけ早く受診すべきです。特に治療の重要な段階で装置が破損した場合、治療効果が失われる可能性があります。
翌日以降の受診でも良いケース
一方で、以下のような状況では、翌診療日に連絡して予約を取れば問題ありません。
**軽微なヒビや小さな破損**で、痛みや違和感がない場合は、慌てる必要はありません。ただし、破損箇所が広がらないよう、装置の使用は控えめにしましょう。
**装置の一部が欠けた**が、口の中を傷つける心配がない場合も、通常の診療時間内に連絡すれば大丈夫です。

夜間や休日の対応
夜間や休日に装置が壊れた場合、多くのケースでは翌診療日まで待つことができます。
ただし、**激しい痛みや出血が止まらない場合**は、休日診療や夜間診療を行っている歯科医院に連絡することを検討してください。地域の歯科医師会が休日診療の情報を提供していることもあります。
緊急性が低い場合は、歯科用ワックスなどで応急処置をして、翌診療日に連絡を取るのが賢明です。
家庭でできる応急処置
装置が壊れた時、歯科医院を受診するまでの間にできる応急処置をご紹介します。
痛みがある場合の対処法
破損した装置が口の中を傷つけて痛みがある場合、**歯科用ワックス**を使うのが最も効果的です。
ワックスを小さく丸めて、痛みの原因となっている部分に押し付けるように貼り付けます。これにより、鋭利な部分が粘膜に直接当たるのを防ぐことができます。
歯科用ワックスがない場合は、清潔なガーゼを小さく折りたたんで当てることもできます。ただし、ガーゼは飲み込まないよう注意が必要です。
また、**口内炎用の軟膏**を傷ついた部分に塗ることで、痛みを和らげることもできます。ただし、これはあくまで一時的な対処法であり、根本的な解決にはなりません。
装置が外れかかっている場合
固定式装置の一部が外れかかっている場合、**無理に押し込もうとしない**ことが重要です。
外れかかった部分が邪魔になる場合は、清潔なピンセットで優しく曲げて、舌や頬に当たらない位置に調整することができます。ただし、力を入れすぎて完全に外してしまわないよう注意してください。
取り外し可能な装置が一部破損している場合は、使用を中止して清潔なケースに保管しましょう。無理に使い続けると、破損が悪化したり、口の中を傷つけたりする可能性があります。

食事の際の注意点
装置が破損してから歯科医院を受診するまでの間、食事には特に注意が必要です。
**硬い食べ物や粘着性の高い食品は避け**、柔らかく食べやすいものを選びましょう。おかゆ、うどん、豆腐、蒸し野菜などがおすすめです。
また、食後は必ず口をすすぎ、破損した装置の周りに食べ物が詰まらないよう注意してください。固定式装置の場合は、柔らかい歯ブラシで優しく清掃しましょう。
装置破損を予防する日常のケア
装置の破損を防ぐためには、日々の適切なケアが欠かせません。
正しい装着・取り外し方法
取り外し可能な装置の場合、**正しい方法で着脱する**ことが破損予防の基本です。
マイオブレースなどのマウスピース型装置を外す時は、両手の人差し指を使って左右同時にゆっくりと外します。片側だけを引っ張ると、装置が変形したり破損したりする原因になります。
装着する時も、焦らず丁寧に行いましょう。装置を口に入れたら、両手で優しく押さえながら正しい位置に収めます。無理に押し込むと、装置が破損するだけでなく、お子さまの歯や歯茎を傷つける可能性もあります。
食事の際の注意事項
食事は装置破損の最大の原因の一つです。以下の食品には特に注意が必要です。
**避けるべき食品**として、硬いせんべい、氷、ナッツ類、硬いキャンディなどが挙げられます。これらは装置に過度な力をかけ、破損の原因となります。
また、**粘着性の高い食品**も要注意です。キャラメル、ガム、餅、グミなどは装置に絡みつき、外れたり破損したりする原因になります。
取り外し可能な装置の場合は、食事の前に必ず外すことが基本です。食後は歯を磨いてから装置を再装着しましょう。
清掃とメンテナンス
装置を清潔に保つことは、破損予防だけでなく、お子さまの口腔衛生にも重要です。
取り外し可能な装置は、**毎日水で洗浄**してください。柔らかい歯ブラシを使って優しく磨き、汚れを落とします。熱いお湯は装置を変形させる可能性があるため、必ず水かぬるま湯を使用しましょう。
週に1〜2回は、専用の洗浄剤を使った清掃もおすすめです。これにより、細菌の繁殖を抑え、装置を清潔に保つことができます。
固定式装置の場合は、柔らかい歯ブラシで装置の周りを丁寧に磨きましょう。歯間ブラシやデンタルフロスを使って、装置と歯の間に食べ物が詰まらないよう注意してください。
保管方法の工夫
取り外し可能な装置を使用していない時は、**専用のケースに保管**することが大切です。
ティッシュやナプキンに包んで置くと、誤って捨ててしまったり、踏んで壊してしまったりする可能性があります。必ず硬いケースに入れて、安全な場所に保管しましょう。
また、ペットや小さなお子さまの手の届かない場所に置くことも重要です。装置が噛まれたり、遊ばれたりして破損するケースも少なくありません。
装置の種類別・破損時の対応
小児矯正で使用される装置は種類によって特徴が異なり、破損時の対応も変わってきます。
マイオブレース(マウスピース型装置)
マイオブレースは柔軟性のあるシリコン素材でできており、比較的破損しにくい装置です。
ただし、縁の部分が裂けたり、穴が開いたりすることがあります。このような破損が見つかった場合は、**すぐに使用を中止**してください。破損した装置を使い続けると、口の中を傷つける可能性があります。
マイオブレースが破損した場合、修理は困難なため、新しい装置に交換することになります。当院では治療中に使用する装置2〜5個については追加費用をいただいておりませんので、安心してご相談ください。
拡大装置(床矯正装置)
拡大装置は、プラスチックのプレート部分と金属のワイヤー部分から構成されています。
最も破損しやすいのは、**プレートのヒビや割れ**です。これは落下や強い衝撃によって起こることが多いです。小さなヒビであれば修理できる場合もありますが、大きく割れた場合は作り直しが必要になることもあります。
また、**ワイヤー部分の変形や破損**も起こりやすいトラブルです。ワイヤーが曲がったり外れたりした場合、口の中を傷つける可能性があるため、すぐに歯科医院に連絡してください。
拡大装置の中央にある**ネジ部分**も重要な箇所です。ネジが回らなくなったり、外れたりした場合は、装置の機能が失われるため、早急な対応が必要です。
固定式装置(リンガルアーチなど)
リンガルアーチやクワドヘリックスなどの固定式装置は、セメントで歯に固定されています。
これらの装置で最も多いトラブルは、**バンド(金属の輪)が外れること**です。バンドが完全に外れた場合、誤飲の危険があるため、すぐに取り出して保管し、歯科医院に連絡してください。
また、**ワイヤー部分が変形したり折れたりする**こともあります。特にリンガルアーチの細い針金(弾線)は破損しやすい部分です。ワイヤーが外れて舌や頬に刺さる場合は、歯科用ワックスで覆う応急処置を行い、できるだけ早く受診しましょう。
治療への影響と対策
装置が破損した場合、治療にどのような影響があるのか、そして対策について解説します。
治療期間への影響
装置の破損が治療に与える影響は、**破損の程度と対応の早さ**によって大きく変わります。
軽微な破損で、すぐに修理や交換ができた場合は、治療への影響はほとんどありません。しかし、破損に気づかずに長期間放置したり、修理までに時間がかかったりすると、治療期間が延びる可能性があります。
特に、装置を使用できない期間が1週間以上続くと、歯が元の位置に戻ろうとする「後戻り」が起こることがあります。この場合、再び歯を動かすための時間が必要になり、結果として治療期間が延びてしまうのです。
費用面での考慮事項
装置の破損による追加費用は、破損の原因や契約内容によって異なります。
当院のマイオブレース治療では、治療中に使用する装置2〜5個については追加費用をいただいておりません。通常の使用による劣化や、適切な使用方法での破損であれば、追加費用の心配はありません。
ただし、明らかな不注意や誤った使用方法による破損の場合は、装置の再作製費用が発生することもあります。装置を大切に扱い、正しい使用方法を守ることが、費用面でも重要です。
お子さまの心理的サポート
装置が壊れた時、お子さまは「自分のせいだ」と感じて落ち込むことがあります。
保護者の方は、**お子さまを責めずに、前向きに対処する姿勢**を示すことが大切です。「装置が壊れることは誰にでもあること」「すぐに歯医者さんで直してもらえる」と安心させてあげましょう。
また、装置が壊れた経験を学びの機会として活用することもできます。「次はもっと丁寧に扱おうね」と優しく声をかけ、正しい使用方法を一緒に確認することで、お子さまの責任感を育てることができます。
当院では、お子さま一人ひとりの状況に合わせて、丁寧にサポートいたします。装置の破損で不安を感じている場合は、遠慮なくご相談ください。
まとめ
小児矯正装置の破損は、適切に対応すれば治療への影響を最小限に抑えることができます。
装置が壊れた時は、まず破損の程度とお子さまの状態を確認し、必要に応じて応急処置を行ってください。痛みや出血がある場合は、できるだけ早く歯科医院に連絡することが大切です。
また、日頃から正しい装着・取り外し方法を守り、食事や清掃に注意することで、装置の破損を予防できます。お子さまと一緒に装置の扱い方を確認し、大切に使う習慣を身につけましょう。
当院では、マイオブレースによる小児矯正を専門的に行っており、毎月100名以上のお子さまがトレーニングに取り組んでいます。装置のトラブルや破損についても、経験豊富なエデュケーターと院長が丁寧にサポートいたします。
装置の破損でお困りの際は、お気軽にご相談ください。お子さまの健やかな成長と美しい歯並びの実現に向けて、私たちが全力でサポートいたします。たなべ歯科クリニック 小児矯正では、無料矯正相談も実施しております。お子さまの歯並びや矯正装置について、どんな些細なことでもお気軽にご相談ください。
小児矯正の装置トラブルが気になる保護者の方へ
「装置が壊れたかもしれない」「このまま使って大丈夫?」と不安なときは、まず落ち着いて状態を確認することが大切です。初診やご相談では、お子さまのお口の状態や装置の使い方に合わせて、受診の目安やご家庭での注意点をわかりやすくご案内します。 WEB予約はこちら
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次の一歩
装置の破損は、気づいた時点で早めに確認することで治療への影響を抑えやすくなります。痛みや違和感がある場合は無理に使い続けず、相談しやすい方法を先に確認してみませんか。 相談方法を確認する
この記事の監修者

たなべ歯科クリニック院長 田邊泰宏
経歴
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1990年
国立徳島大学歯学部卒業、大阪名越歯科(高槻)勤務
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1994年
大阪名越歯科(梅田センタービル)チーフドクター
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1998年
たなべ歯科クリニック開院
愛媛県松山市にて、予防歯科からインプラント等の高度な自由診療まで幅広く対応。丁寧なカウンセリングを信条とし、地域の皆様が一生自分の歯で歩める健康づくりを支えている。




