
「うちの子、なんでこんなに猫背なんだろう…」
そう感じたことはありませんか?
実は、子どもの姿勢の悪さには、歯並びや口の使い方が深く関わっているケースがあります。背中が丸まる原因を「運動不足」や「スマホの見すぎ」だけに求めていると、本当の原因を見逃してしまうかもしれません。
歯科医師として長年、子どもたちの口腔内を診てきた立場から言うと、「口呼吸」「舌の位置の乱れ」「お口ポカン」といった口腔習癖が、姿勢の崩れに直結しているケースは決して珍しくありません。
この記事では、猫背と口腔習癖の関係、そして歯科的なアプローチで姿勢改善を目指す方法について、わかりやすくお伝えします。
姿勢・呼吸・歯並びの関係は、初回にわかりやすくご説明しています
- お子さまの猫背や姿勢の悪さが気になっている
- 姿勢と歯並びが関係していると聞いて驚いている
- 口呼吸や指しゃぶりなどの習慣がなかなか直らない
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口腔習癖とは何か――姿勢崩れの「隠れた原因」
まず、「口腔習癖」という言葉から整理しましょう。
「口腔習癖」とは…
口や舌、呼吸に関する無意識の癖のことです。代表的なものには、口呼吸・舌の低位(舌が正しい位置にない状態)・指しゃぶり・お口ポカン(口唇閉鎖不全)などがあります。
子どもは成長の過程でこうした癖を身につけやすく、気づかないうちに習慣化してしまいます。
問題は、これらの癖が顎の発育・歯並び・さらには全身の姿勢にまで影響を及ぼすことです。
たとえば、口呼吸が続くと口が常に開いた状態になります。すると舌が本来あるべき上顎にくっついた位置(スポット)から落ち、下に垂れ下がります。舌が低い位置にあると、頭が前に出やすくなり、首・肩・背中の筋肉バランスが崩れ、猫背につながるのです。

「姿勢と歯並びは別の話」と思われがちですが、実は口と体は一本の筋肉・骨格の連鎖でつながっています。
猫背を引き起こす口腔習癖のメカニズム
口呼吸が姿勢を崩す理由
鼻ではなく口で呼吸をしている状態が続くと、口周りの筋肉が緩みやすくなります。
口が開いたままになると、舌の位置が下がります。舌は本来、上顎に軽く触れている状態が正常です。しかし舌が落ちると、頭の重心が前方にずれ、首を前に突き出した「前傾姿勢」になりやすくなります。
頭の重さは約4〜6kgと言われています。この重さが前方にずれると、首・肩・背中の筋肉が常に引っ張られ、猫背が定着してしまうのです。
さらに、口呼吸では鼻呼吸に比べて取り込める酸素量が少なくなる可能性があります。酸素が十分に供給されないと、集中力の低下や疲れやすさにもつながると考えられています。
舌の位置と全身バランスの関係
舌は「体の中心にある筋肉」とも言えます。
正しい位置(上顎のスポット)にある舌は、上顎を内側から支え、顎の正常な発育を促します。一方、舌が常に低い位置にあると、上顎が十分に広がらず、歯が並ぶスペースが不足します。その結果、叢生(歯のガタガタ)や上顎前突(出っ歯)が起きやすくなります。
骨格への影響はそれだけにとどまりません。舌の位置が低いと、頭蓋骨と頸椎のバランスが崩れ、背骨全体のアライメントに影響を与えます。猫背・骨盤の後傾・O脚など、全身の姿勢問題に発展するケースもあります。
お口ポカンが招く悪循環
「お口ポカン」は、上下の唇がしっかり閉じられていない状態です。
唇の閉鎖力が弱いと、口の周りの筋肉(口輪筋)が十分に機能しません。口輪筋は顔の表情筋とも連動しており、この筋力低下は顔の骨格発育にも影響します。
また、お口ポカンの子どもは口呼吸になりやすく、舌の低位・猫背という悪循環に入りやすいのです。
お子さまの姿勢や口の習慣が気になったら、相談だけでもOKです。お気軽にご連絡ください。
歯並びと姿勢の悪化が重なると起こること
口腔習癖が続くと、歯並びと姿勢の両方が同時に悪化していきます。
猫背になると首や肩まわりの筋肉が強張り、顎を前に出したり首を短くしたりする傾向が出てきます。すると顎周辺の筋肉バランスが乱れ、歯並びにさらに影響を及ぼすという悪循環が生まれます。
具体的に起こりやすい歯列トラブルを整理すると、以下のようになります。
- 上顎前突(出っ歯)…猫背や顎を前に突き出す姿勢が続くと、上の前歯に負担がかかりやすくなります。
- 叢生(歯のガタガタ)…口呼吸・舌低位により上顎が十分に発育せず、歯が並ぶスペースが不足します。
- 開咬(かいこう)…舌を前に押し出す癖があると、上下の前歯に隙間ができます。姿勢が悪いと舌の位置が下がりやすく、この癖が助長されます。
成長期の子どもは骨が柔らかく、習慣の影響を受けやすい時期です。だからこそ、早期に気づいて対処することが大切です。

日常生活の中で見直したい習慣
食事中の姿勢チェック
食事のときの姿勢は、顎の発育を左右します。
足がブラブラした状態で食べていると、しっかり噛む力が発揮できません。噛む力が弱いと顎の発育が不十分になり、歯が並ぶスペースが不足します。足の裏が床にしっかりつく高さの椅子・足置き台を用意することが大切です。
また、背筋が左右どちらかに傾いた状態で食べ続けると、片側の顎ばかりが発達し、噛み合わせのバランスが崩れます。食事中のテレビも、子どもが横を向いたまま食べる原因になるため注意が必要です。
スマホ・タブレットの使い方
近年、子どもたちのスマホやタブレット使用時間が増えています。
下を向いたまま長時間画面を見る姿勢は、首への負担が大きく、猫背を加速させます。適度な休憩と、画面を目の高さに近づける工夫が有効です。また、口が開いたまま画面に集中している子どもも多く、口呼吸の習慣化につながりやすいため、意識的に口を閉じるよう声をかけることも大切です。
鼻呼吸を意識させる声かけ
「お口閉じてね」のひと言が、子どもの習慣を変えます。
日常的に口が開いていることに気づいたら、優しく声をかけてあげましょう。ただし、アレルギー性鼻炎や鼻詰まりが原因で口呼吸になっているケースもあります。その場合は耳鼻科や歯科への相談が必要です。
歯科的アプローチで姿勢改善を目指す――マイオブレースという選択肢

姿勢の問題を「体の問題」だけで解決しようとしても、根本にある口腔習癖が残っていれば、改善は難しいことがあります。
当院(たなべ歯科クリニック)では、「マイオブレース」という機能的矯正装置を用いた小児矯正を行っています。
「マイオブレース」とは…
世界100ヶ国以上で使用されている機能的矯正装置です。単に歯並びを整えるだけでなく、口呼吸・舌の間違った位置・お口ポカンといった口腔習癖を根本から改善することで、呼吸・姿勢・顔の成長まで包括的にサポートします。
※完成物薬機法対象外の歯科矯正装置であり、医薬品副作用被害救済制度の対象外となる場合があります。
マイオブレースが目指す5つのゴール
- 鼻で呼吸できるようになること
- 美しい歯並びを実現すること
- 舌の位置が正しく整うこと
- 顔の骨格が正常に発達すること
- 上下の唇がしっかり閉じられること
これらのゴールは、そのまま「姿勢改善」にもつながっています。舌が正しい位置に戻り、鼻呼吸が確立されると、頭の重心が安定し、猫背が改善されやすくなります。
5歳から始めることの意味
「まだ小さいのに矯正?」と思われる方もいらっしゃいます。
でも、5〜8歳は顎が発達途中(乳歯列・混合歯列期)で、習慣づけがしやすい最も大切な時期です。この時期に口腔習癖を改善することで、歯を抜かずに治せるケースが多く、ブラケットを使わない治療が可能です。また、痛みを感じることがほとんどなく、矯正後の後戻りも少ないという特徴があります。
早いお子さまでは、2週間ほどで歯並びの改善を実感されることもあります。頑張ってトレーニングを続ければ、2年ほどでしっかりとした結果が出ます。
治療の流れと費用
治療は、就寝時と日中1〜2時間のマウスピース装着、月1回の院内トレーニング、毎日10分間の家庭練習を組み合わせて進めます。
費用は以下の通りです。
- 精密検査:3,000円(税込)
- 基本治療費:300,000円(税込)
- 調整費:0円(治療中の装置交換も追加費用なし)
すべて自費治療ですが、治療費が高額だから治療をあきらめるということがないよう、リーズナブルな価格設定にしています。
実際のお子さまの変化――当院での治療事例
毎月100名以上のお子さんが、当院でトレーニングをがんばってくれています。
たとえば、8歳9か月の女の子。前歯のガタガタが主訴でご来院されましたが、マイオブレース(筋機能療法)を開始して5か月で前歯の改善が見られました(治療継続中)。
また、8歳6か月の男の子は「お口ポカン」が主訴でした。7か月のトレーニングで口唇閉鎖が改善し、自然に口が閉じられるようになりました(治療継続中)。
治療を通じて歯並びが改善されるだけでなく、姿勢や舌の位置が正しくなり、飲み込む機能の向上・鼻呼吸の確立・いびきの軽減が期待できます。さらに、勉学面での集中力向上や免疫力向上など、全身の健康にもよい影響が期待できます。
「うちの子に当てはまるかも…」と感じたら、ぜひ一度ご相談ください。
まとめ――姿勢改善の第一歩は「口の癖」の見直しから
子どもの猫背や姿勢の悪さは、口腔習癖が深く関わっていることがあります。
口呼吸・舌の低位・お口ポカンといった癖が、頭の重心を前方にずらし、首・肩・背中の筋肉バランスを崩し、猫背を引き起こします。そして歯並びの悪化と姿勢の崩れは、互いに悪影響を与え合う悪循環を生みます。
大切なのは、原因にアプローチすることです。
歯科的な視点から口腔習癖を改善することで、歯並びだけでなく、姿勢・呼吸・集中力・免疫力まで、子どもの全身の成長をサポートできます。
お子さまの姿勢や口の癖が気になる方は、まずは気軽にご相談ください。一緒に、お子さまの健やかな成長を考えましょう。
▼ 小児矯正について詳しくはこちら
姿勢や口腔習癖が気になり始めたら、まずお口の状態を確認するところからはじめましょう。お子さまの全体的な発達を考えながらご対応します。
初診の流れ:受付 → お口の確認 → カウンセリング。お子さまと保護者の方でお越しください。
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